薬剤師国家試験 令和06年度 第109回 - 一般 理論問題 - 問 142
製造物責任と医薬品に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 薬局は、医薬品に関して製造物責任を負う製造業者等に該当する場合がある。
2 一般用医薬品は、製造物責任の対象とならない。
3 製造物責任の損害賠償が認められるためには、欠陥によって入院を必要とするような医療の提供があったことが必要である。
4 医薬品は、副作用があっても直ちに製造物としての欠陥とはならない。
5 製造物責任の損害賠償が認められるためには、被害者が医薬品製造に関する製造業者等の過失を立証することが必要である。
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解答 1、4
製造物責任に関する規定が示されている法律は、製造物責任法(以下、「PL法」という。)である。
1 正
PL法において、「製造業者等」とは、次のいずれかに該当する者をいう。
① 製造業者(当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者)
② 自ら当該製造物の製造業者として当該製造物に氏名等の表示(その氏名、商号、商標その他の表示)をした者又は当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者
③ 前号に掲げる者のほか、当該製造物の製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者
薬局において、薬局製造販売医薬品(薬局製剤)の製造及び販売を行っている場合には、その薬局は薬局製造販売医薬品に関して製造物責任を負う製造業者等に該当する。
2 誤
PL法において、「製造物」とは「製造又は加工された動産」と定義されている。
一般用医薬品は、医薬品製造業者により製造され、医薬品製造販売業者により製造販売されるため、PL法でいう製造物に該当し、製造物責任の対象となる。
3 誤
製造物責任の損害賠償が請求できる被害は、人の生命、身体又は財産に係るものとされているが、その被害の程度は要件とされておらず、入院を必要とするような医療提供を必ずしも必要としない。
4 正
PL法において、「欠陥」とは、「当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。」と定義されている。
医薬品は、製造販売承認を受ける際に、一定の治療目的に対する有効性を示し、その有効性に対して副作用の程度が許容される範囲であるかを審査され、製造販売されている。
したがって、医薬品を適正に製造し、製造販売した場合には、副作用があったとしても「当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていること」には該当しない可能性があるため、直ちに製造物としての欠陥とは判断されない。
5 誤
製造物責任の損害賠償が認められるためには、製造物に欠陥が存在すること、損害が発生したこと、欠陥と損害の間に因果関係があることを立証すればよいため、製造業者等の過失を立証する必要はない。
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