薬剤師国家試験 令和06年度 第109回 - 一般 理論問題 - 問 159
心不全の治療に用いられる薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 ジゴキシンは、Na+,K+−ATPaseを活性化し、心筋細胞内Ca2+濃度を上昇させて、強心作用を示す。
2 ピモベンダンは、サイクリックAMP(cAMP)誘導体で、細胞内でcAMPに変換されて、強心作用を示す。
3 ビソプロロールは、アドレナリンβ1受容体を遮断し、心臓のリモデリングを抑制する。
4 カルペリチドは、生体内で活性体となり、ナトリウム利尿ペプチドの分解を阻害して、血管拡張作用と利尿作用を示す。
5 イバブラジンは、過分極活性化環状ヌクレオチド依存性チャネル(HCNチャネル)を遮断して、心拍数を減少させる。
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解答 3、5
1 誤
ジゴキシンは、心筋細胞膜のNa+,K+−ATPaseを阻害し、心筋細胞内Na+濃度を上昇させることで、間接的にNa+-Ca2+交換系に作用し、Ca2+濃度を上昇させて、強心作用を示す。
2 誤
ピモベンダンは、選択的ホスホジエステラーゼⅢ阻害作用、心筋収縮タンパク(トロポニンC)に対するCa2+の感受性増加作用により強心作用を示す。なお、サイクリックAMP(cAMP)誘導体で、細胞内でcAMPに変換されて強心作用を示す薬物は、ブクラデシンナトリウムである。
3 正
心不全では、レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系(RAA系)の亢進による血圧上昇などが要因で、負荷を受けた心臓が、負荷に適応するため肥大することがある(心臓のリモデリング)。ビソプロロールは、選択的アドレナリンβ1受容体遮断薬であり、心筋のアドレナリンβ1受容体を遮断し、心機能を抑制する。また、腎臓のアドレナリンβ1受容体を遮断し、レニン分泌を阻害することで、RAA系を抑制するため、心臓のリモデリングを抑制する。
4 誤
カルペリチドは、心房性ナトリウム利尿ポリペプチド(ANP)製剤であり、ANP受容体を刺激し、膜結合型グアニル酸シクラーゼを活性化させてcGMPを増加させることで、血管拡張作用と利尿作用を示す。なお、生体内で活性体となり、ナトリウム利尿ペプチドの分解を阻害して、血管拡張作用と利尿作用を示す薬物は、サクビトリルバルサルタンである。
5 正
イバブラジンは、洞房結節の活動電位の立ち上がりに関与する過分極活性化環状ヌクレオチド依存性チャネル(HCNチャネル)を遮断して、洞房結節の反応を遅延させることで、心拍数を減少させる。
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