薬剤師国家試験 令和06年度 第109回 - 一般 実践問題 - 問 246,247
65歳男性。肝腫瘍の精査目的で来院し、CT検査にてS2区域に35 mmの乏血性腫瘍が確認された。入院し、超音波ガイド下で経皮的に生検針を刺し、肝臓の一部を採取する肝生検を実施することになった。
入院予定2週間前の外来受診の際に、以下の薬剤を継続して服用していることを薬剤師が聴取した。
問246(薬理)
この患者が継続服用していることが確認された薬物の作用として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 ジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP−4)を阻害して、グルコースによるインスリン分泌を促進する。
2 ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体α(PPARα)を刺激して、リポタンパク質リパーゼ(LPL)を活性化する。
3 K+と競合して、胃の壁細胞のH+,K+−ATPaseを可逆的に阻害することで、H+分泌を抑制する。
4 血小板のセロトニン5−HT2受容体を遮断して、細胞内Ca2+濃度上昇を抑制する。
5 活性代謝物が血小板のADP P2Y12受容体を遮断して、細胞内サイクリックAMP(cAMP)量を増加させる。
問247(実務)
この患者で肝生検を行うにあたり休薬する薬剤として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1 クロピドグレル錠
2 アムロジピン口腔内崩壊錠
3 ランソプラゾール口腔内崩壊錠
4 フェノフィブラート錠
5 グリメピリド錠
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問246 解答 2、5
1 誤
シタグリプチンなどのジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP−4)阻害薬に関する記述である。シタグリプチンは、DPP−4を阻害して、インクレチンの分解を抑制することで、グルコースによるインスリン分泌を促進する。
2 正
フェノフィブラートなどのフィブラート系薬に関する記述である。フェノフィブラートは、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体α(PPARα)を刺激して、リポタンパク質リパーゼ(LPL)を活性化することで、血中トリグリセリド(TG)を低下させる。
3 誤
ボノプラザンに関する記述である。ボノプラザンは、K+と競合して、胃の壁細胞のH+,K+−ATPaseを可逆的に阻害することで、H+分泌を抑制し、胃酸分泌を抑制する。
4 誤
サルポグレラートに関する記述である。サルポグレラートは、血小板のセロトニン5−HT2受容体を遮断して、細胞内Ca2+濃度上昇を抑制することで、血小板凝集を抑制する。
5 正
クロピドグレルなどに関する記述である。クロピドグレルは、活性代謝物が血小板のADP P2Y12受容体を遮断して、細胞内サイクリックAMP(cAMP)量を増加させることで、血小板凝集を抑制する。
問247 解答 1、5
この患者で肝生検を行うにあたり休薬する薬剤として、適切なのはクロピドグレル錠とグリメピリド錠である。クロピドグレルは抗血栓薬であり、肝生検による出血リスクを高めるため、休薬が必要となる。また、グリメピリドはスルホニル尿素系のインスリン分泌促進薬であり、膵β細胞からのインスリン分泌を促進するが、肝生検時は、ストレスや絶食などによる血糖値のコントロールが難しいため、インスリン療法に切り替えることが原則とされている。
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解説動画1 ( 06:49 )
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