薬剤師国家試験 平成24年度 第97回 - 一般 実践問題 - 問 310,311
保険薬局で処方せんを受け付けた際の薬剤師の対応について、以下の問に答えよ。
問310(法規・制度・倫理)
薬剤師法その他関連法令の規定に照らし、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 処方内容に疑問を感じただけでは、調剤を断る正当な理由にはならない。
2 疑義照会をせず調剤を行った結果生じた被害については、民法による損害賠償の責任を問われることがある。
3 医師又は歯科医師の発行した処方せんであることを免許証番号で確認する。
4 処方せんを持参した者が患者自身でない場合は、患者との関係を確認し調剤録に記載しなければならない。
問311(実務)
受け付けた処方せんに疑義が生じたため、電話で病院の医師に問い合わせた。疑義照会を行う際の注意点として、適切でないのはどれか。1つ選べ。
1 こちらの名前を名乗ってから処方医に取り次いでもらう。
2 患者のプライバシーに配慮し、患者名は告げずにイニシャルで照会をする。
3 電話では相手の顔や身振りが見えないので、相手の状況や感情を気遣う。
4 疑問点を明確にし、照会する内容を整理してから照会をする。
5 何回も問い合わせることのないように、照会前に処方せんの内容をもう一度確認する。
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問310 解答 1、2
1 正
調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあった場合には、正当な理由なく、調剤を断ることはできない。薬局における薬剤師の不在、処方医の不在により疑義照会ができないことは、調剤を断ることができる正当な理由となるが、処方内容に疑問を感じただけでは、調剤を断る正当な理由とはならない。なお、処方内容に疑問を感じた場合は、処方医に疑義照会し、調剤する必要がある。
2 正
薬剤師が疑義照会を怠った結果生じた被害については、民法による損害賠償の責任に加え、刑法による業務上過失致死傷による懲役もしくは禁錮または罰金の責任を問われることがある。
3 誤
医師又は歯科医師の免許証番号は、処方せんには記載されていないため、免許証番号を確認することで、医師又は歯科医師の発行した処方せんであることを確認することはできない。
なお、医師、歯科医師等の処方せんの記載事項は、①患者の氏名、②年齢、③薬名、④分量、⑤用法、⑥用量、⑦発行年月日、⑧使用期限、⑨病院もしくは診療所の名称及び所在地又は医師の住所、⑩医師記名押印又は署名である。
4 誤
処方せんを持参した者が患者自身でない場合であっても、患者との関係を調剤録に記載する必要はない。なお、調剤録の記載事項は、①患者の氏名及び年齢、②薬名及び分量、③調剤年月日、④調剤量、⑤調剤した薬剤師の氏名、⑥処方せんの発行年月日、⑦処方せんを交付した医師等の氏名⑧疑義照会時の回答内容等である。
問311 解答 2
疑義照会を行う際、患者の氏名をイニシャルで伝えると患者を特定することが難しく、患者の取り間違えを起こす可能性が高くなる。よって、疑義照会を行う際、患者の氏名はフルネームで照会する必要がある。
疑義照会を電話で行う際、疑問点を明確にし、照会する内容を整理した後、何回も問い合わせることのないように、処方せんの内容を再度確認する。その後、電話をかけ、こちらの名前を名乗ってから処方医に取り次いでもらい、できるだけ正確に要領よく、疑義照会を済ませることが重要である。また、電話では相手の顔や身振りが見えないので、相手の状況や感情を気遣うことも大切である。
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