薬剤師国家試験 平成25年度 第98回 - 一般 理論問題 - 問 120
アレルギー及び自己免疫疾患に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
1 アナフィラキシーショックは、IgE抗体の関与するⅠ型アレルギーの機序で引き起こされる。
2 接触性皮膚炎は、主に活性化されたT細胞やマクロファージによって引き起こされるⅣ型アレルギーである。
3 胎児の赤血球抗原により母体が感作され生成する抗体は、IgMクラスであるため、胎盤を通過しやすく新生児溶血性貧血の原因となる。
4 ニコチン性アセチルコリン受容体に対する自己抗体は、重症筋無力症の発症に関与する。
5 バセドウ病は、甲状腺刺激ホルモン(TSH)受容体に対する自己抗体の作用による甲状腺機能亢進が原因となる。
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解答 3
1 正しい
アナフィラキシーショックは、Ⅰ型(即時型)アレルギー機序で引き起こされる。Ⅰ型アレルギーは、肥満細胞表面に結合したIgE抗体へ抗原(アレルゲン)が結合することで肥満細胞からヒスタミンが遊離され、呼吸困難、じんましん、鼻炎等の症状を引き起こす。
2 正しい
接触性皮膚炎は、Ⅳ型(遅延型)アレルギー機序で引き起こされる。Ⅳ型アレルギーは、原因となる化学物質などが自己のタンパク質を修飾したのち、異物として抗原提示され、T細胞を刺激する。刺激されたT細胞はサイトカインやケモカインを分泌してマクロファージの遊走を促し、アレルギー反応を引き起こす。
3 誤っている
胎盤を通過する抗体はIgGである。なお、新生児溶血性貧血とは、主に母親と子の間で血液型不適合があるときに、母親に胎児の赤血球に反応するIgG抗体が形成され、IgG抗体が胎盤を通過して胎児に移行し胎児の赤血球を破壊することによって発症するものをいう。
4 正しい
重症筋無力症は、骨格筋のニコチン性アセチルコリン受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患であり、全身の筋力低下、易疲労感が出現し、特に瞼眼下垂、複視等の症状を起こす。
5 正しい
バセドウ病は、甲状腺刺激ホルモン(TSH)受容体に対する自己抗体が産生され、自己抗体が甲状腺を刺激して、甲状腺ホルモンの過剰産生を引き起こすことによって発症する自己免疫疾患であり、甲状腺腫、眼球突出、頻脈、体重減少などの症状がみられる。
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