薬剤師国家試験 平成25年度 第98回 - 一般 実践問題 - 問 254,255
70歳男性。経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋症)の患者に以下の薬剤が処方された。
問254(実務)
薬剤師として処方医に情報提供すべき内容として、適切でないのはどれか。1つ選べ。
1 アスピリンと併用する必要がある。
2 投与開始日にはローディングドーズを必要とする。
3 重大な副作用として血栓性血小板減少性紫斑症(TTP)が発生することがあるので、投与開始後2ヶ月間は2週間に1回程度の血液検査を考慮する。
4 クロピドグレルの用量調節には、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の測定が必要である。
5 本剤による血小板凝集抑制が問題となるような手術の場合には、14日以上前に投与を中止することが望ましい。
問255(薬理)
クロピドグレルに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 肝臓で活性代謝物に変換され、抗血小板活性を示す。
2 ADP受容体サブタイプP2Y12受容体を刺激する。
3 血小板のアデニル酸シクラーゼ活性を増強する。
4 血小板のシクロオキシゲナーゼを阻害する。
5 抗凝固薬と併用しても、出血傾向は増強されない。
- REC講師による詳細解説! 解説を表示
-
問254 解答 4
1 適切
クロピドグレルは、経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される虚血性心疾患患者に使用する場合は、アスピリン(81〜100 mg/日)と併用する必要がある。
2 適切
PCIが適用される虚血性心疾患患者に使用する場合は、通常、成人には投与開始日にローディングドーズ(注)として300 mgを投与する必要がある。ただし、PCI施行前にクロピドグレル75 mgを少なくとも4日間投与された場合は、ローディングドーズは必須ではない。
(注)ローディングドーズ:ただちに血中薬物濃度を治療濃度に上げるために必要な初回投与量のこと。
3 適切
クロピドグレルの重大な副作用として、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)や無顆粒球症、重篤な肝障害等が現れる可能性があるため、投与開始後2ヶ月間は、2週間に1回程度の血液検査等の実施を考慮しなければならない。
4 不適切
クロピドグレルは、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)に基づいて用量調節は行わないため、APTTの測定は不要である。なお、APTTの値に基づき用量調節をする必要があるのは、ヘパリンである。
5 適切
問255 解答 1、3
1 正
クロピドグレルは、肝臓において活性代謝物に変換され、Giタンパク質共役型受容体であるADP受容体サブタイプP2Y12受容体を遮断することで、アデニル酸シクラーゼ活性を増強し、細胞内cAMP量を増加させることで血小板凝集を抑制する。
2 誤
解説1参照
3 正
解説1参照
4 誤
血小板のシクロオキシゲナーゼを阻害し血小板凝集を抑制する薬物は、アスピリンである。
5 誤
抗凝固薬と併用した場合、出血した時、それを助長するおそれがあるため、併用時には出血などの副作用に注意する必要がある。
- この過去問解説ページの評価をお願いします!
-
評価を投稿