薬剤師国家試験 平成25年度 第98回 - 一般 実践問題 - 問 274,275
53歳男性。体重50 kg。胃がんと診断され、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤とシスプラチンとの併用療法が施行されることになった。
問274(薬剤)
この患者において、シスプラチンの点滴静注終了後の体内動態は線形2−コンパートメントモデルに従い、α相(分布相)の半減期は10分、β相(消失相)の半減期は42時間であった。片対数グラフに示す血清中濃度推移として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
問275(実務)
今回の治療法の副作用とその対策に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
1 嘔気・嘔吐の副作用発現頻度が高い。
2 骨髄抑制などの副作用を回避するために、血液検査を頻回行う。
3 シスプラチンによる腎毒性軽減のために、大量の輸液投与を行う。
4 利尿剤の併用は禁忌である。
5 副作用予防のために、いずれの薬剤も休薬期間が必要である。
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問274 解答 4
薬物を点滴静注し血漿中濃度推移を測定すると、α相(分布相)とβ相(消失相)がみられる場合がある。このような薬物の体内動態を解析する場合、1−コンパートメントモデルを適応できず、2−コンパートメントモデルを適用する。
2−コンパートメントモデルに従う薬物の血清中濃度推移(片対数グラフ)を以下に示す。
設問中に「シスプラチンの点滴静注終了後の体内動態は線形2−コンパートメントモデルに従い、α相(分布相)の半減期は10分、β相(消失相)の半減期は42時間であった。」とあることから、設問中のグラフ4がシスプラチンを点滴静注後の血清中濃度の推移として最も適切である。
問275 解答 4
1 正しい
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤とシスプラチンは共に副作用として、嘔気・嘔吐が起こりやすい。
2 正しい
シスプラチンを投与すると、急性腎不全等の腎障害、骨髄抑制等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(腎機能検査、血液検査、肝機能検査等)を行う。
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤を投与する際は、骨髄抑制、劇症肝炎等の重篤な副作用を回避するために各クール(解説5参照)開始前及び投与期間中は2週間に1回以上、臨床検査(血液検査、肝・腎機能検査等)を行う。
3 正しい
シスプラチンの毒性を軽減するため、成人には本剤投与前、1,000~2,000 mLの適当な輸液を4時間以上かけて投与し、本剤投与終了後、1,000~2,000 mLの適当な輸液を4時間以上かけて投与する。
4 誤っている
シスプラチン及びテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤は共に利尿剤と併用することが可能である。
5 正しい
胃がんの患者に対してシスプラチンを用いる場合、1日1回投与し、少なくとも3週間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤を用いる場合、朝食後及び夕食後の1日2回、28日間連日経口投与し、その後14日間休薬するこれを1クールとして投与を繰り返す。
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