薬剤師国家試験 平成26年度 第99回 - 一般 理論問題 - 問 100
X線回折法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 X線源のターゲット(対陰極)には、CuやMoが用いられる。
2 測定には、連続X線が通常用いられる。
3 X線結晶構造解析では、回折斑点の強度から結晶の格子定数が求められる。
4 粉末X線回折法では、結晶構造に基づいた同心円状の回折像が得られる。
5 X線を結晶に照射すると、主にその物質中の原子核の強制振動が起こり、散乱X線が生じる。
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解答 1、4
X線を結晶に照射すると、主にその物質中の電子の強制振動が起こり、散乱X線を生じる。散乱X線のうち、結晶面に対してブラッグの式を満たす角度(θ)のものは、互いに干渉し、強め合い、あたかも入射X線が反射したようになる。これを回折現象といい、生じた回折光を回折X線という。X線回折法は、この回折X線を利用する測定法であり、X線回折法には、X線結晶構造解析法や粉末X線回折測定法がある。
1 正
X線の発生装置に用いられるX線管球は、管球内で加熱された陰極から出た熱電子を電場により加速し、ターゲット(対陰極)に照射することでX線を発生させる。対陰極の金属にはCuやMoが用いられる。
2 誤
X線管球より発生するX線には、特性X線と連続X線があり、通常、X線回折法では特性X線が用いられる。
3 誤
X線結晶構造解析において、結晶の格子定数は、回折斑点の間隔より求めることが可能である。なお、回折強度より求めることができるのは、原子中の電子密度であり、回折強度を測定することにより、単位格子中に含まれる原子の種類と位置を特定することが可能である。
4 正
粉末X線回折法では、粉末試料にX線を照射し、その物質中の電子を強制振動させることにより生じる干渉性散乱X線による回折強度を、各回折角について測定する方法である。粉末試料中では、結晶の格子面は空間のあらゆる方向を向いているため、試料にX線を照射するとあらゆる方向に回折X線を生じ、結晶構造に基づいた同心円状の回折像が得られる。
5 誤
X線を結晶に照射すると、主にその物質中の電子の強制振動が起こり、散乱X線が生じる。
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