薬剤師国家試験 平成26年度 第99回 - 一般 実践問題 - 問 246,247

65歳女性。咳と痰がひどいため近医を受診。保険薬局で薬剤師が以下の処方せんを受け付け、お薬手帳を確認し処方監査を行った。


問246（実務）
お薬手帳には以下の薬剤が記載されていた。この中で上記処方と併用した場合、処方医に対し、疑義照会の対象になる薬剤はどれか。２つ選べ。

１　モンテルカストナトリウム錠
２　フルボキサミンマレイン酸塩錠
３　八味地黄丸エキス顆粒
４　葛根湯エキス顆粒
５　ガスター10（ファモチジンを含有する一般用医薬品）


問247（薬理）
処方された薬剤及びお薬手帳に記載されていた薬剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。２つ選べ。

１　テオフィリンは、ホスホジエステラーゼを阻害し、気管支拡張作用を示す。
２　ブデソニドは、細胞膜に発現する特定の1回膜貫通型受容体に結合することで炎症メディエーターの産生を抑制する。
３　アンブロキソールは、肺サーファクタントの産生を促進し、去痰作用を示す。
４　モンテルカストは、5-リポキシゲナーゼを阻害することでロイコトリエンの産生を抑制する。

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問246　解答　２、４

１　誤
モンテルカストナトリウム錠は、いずれの処方薬とも相互作用が報告されていない。

２　正
フルボキサミンマレイン酸塩錠は様々なCYPを阻害し、中でも特にCYP1A2、CYP2C19に対する阻害作用が強い。本剤との併用により、CYP1A2によって代謝されるテオフィリンのクリアランスが大きく低下するおそれがある。そのため、本剤とテオフィリンは併用注意となっている。

３　誤
八味地黄丸エキス顆粒は、いずれの処方薬とも相互作用が報告されていない。

４　正
葛根湯エキス顆粒は、カッコン、マオウ、ケイヒ、シャクヤク、カンゾウ、タイソウ、ショウキョウからなる漢方処方である。葛根湯の構成生薬であるマオウは、中枢興奮作用を有するため、本剤とテオフィリンを併用すると中枢興奮作用が増強されることがある。そのため、葛根湯とテオフィリンは併用注意となっている。

５　誤
ガスター10は、いずれの処方薬とも相互作用が報告されていない。


問247　解答　１、３

１　正
テオフィリンは、気管支平滑筋細胞内でホスホジエステラーゼを阻害し、サイクリックAMP濃度の上昇を介して気管支拡張作用を示す。

２　誤
ブデソニドは副腎皮質ステロイド性薬であり、細胞質にある受容体と結合した後に核内へと移行し、遺伝子の転写を調節することで炎症メディエーターの産生を抑制する。

３　正
アンブロキソールは、肺胞Ⅱ型細胞からの肺サーファクタントの産生を促進し、去痰作用を示す。

４　誤
モンテルカストは、ロイコトリエン受容体を遮断することで、気管支ぜん息等の呼吸器症状に効果を示す。

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