薬剤師国家試験 平成26年度 第99回 - 一般 実践問題 - 問 318,319
医薬分業の進展とともに、かかりつけ薬局の重要性が高まっている。かかりつけ薬局を訪れたAさんは、1週間前より以下の処方にて薬を服用中である。「明日早朝より10日間出張のため、薬が3日分不足することになる。電話したが、医師は不在であると看護師に言われた。」と相談があった。なお、センノシド錠は「処方せん医薬品以外の医薬品」に分類されている。
問318(実務)
薬剤師の最初の対応として適切なのはどれか。1つ選べ。
1 3日分お渡しします。出張後処方せんを医師からもらってきてください。
2 看護師に伝えておきますので、3日分お渡しします。
3 同じ有効成分を含有する一般用医薬品がありますが、いかがですか。
4 明日医師に連絡して処方日数を変更してもらいますので、3日分お渡しします。
5 あなたの知人のBさんが同じ薬を服用しています。Bさんに相談されてはいかがでしょう。
問319(法規・制度・倫理)
医薬分業に関わる記述のうち、誤っているのはどれか。2つ選べ。
1 最近の処方せん受取率は、全国平均で約80%である。
2 薬局薬剤師には、地域医療におけるチーム医療の一員としての役割が期待されている。
3 医薬分業の利点には、医師と薬剤師がそれぞれの専門分野で業務を分担し、国民医療の質的向上を図ることがあげられる。
4 「かかりつけ薬局」の意義として、薬歴管理により重複投薬、相互作用の有無の確認などができ、薬物療法の有効性・安全性が向上することがあげられる。
5 業務の責任を明確にするため、病院薬剤師と薬局薬剤師は連携せずに、独立して業務を行うことが求められる。
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問318 解答 3
1 誤
薬剤師は、医師等の処方せんによらなければ調剤してはならない。よって、処方せんの交付前に調剤することはできない。
2 誤
薬剤師は、処方医の同意を得ることなく処方内容を変更することはできない。よって、看護師に伝えることで、医薬品を追加投与することはできない。
3 正
処方医と連絡がつかない場合の薬剤師の対応として、一般用医薬品に同じ有効成分を含有するものがある場合には、一般用医薬品の購入を勧めることが望ましい。
4 誤
処方内容を変更し調剤するためには、あらかじめ、処方医の同意を得る必要がある。よって、後日、処方医に連絡して処方日数を変更することはできない。
5 誤
薬剤師には、守秘義務があり、知人の服用歴などを正当な理由なく伝えるべきではない。また、薬剤師は調剤された医薬品を他人と共有することを勧めるべきではない。
問319 解答 1、5
1 誤っている
最近の処方せん受取率(医薬分業率)は、全国平均で約66.1%(2012年度)である。
2 正しい
薬局薬剤師は医療機関等と連携してチーム医療に積極的に取り組む必要性がある。その中で、薬局薬剤師は地域医療におけるチームの一員として、医薬品の安全性と有効性及び品質の確保に貢献する必要がある。
3 正しい
医薬分業では、医師と薬剤師がそれぞれの専門分野で業務を分担し、国民医療の質的向上を図ることを目的としている。医薬分業の利点には、次のような内容があげられる。
・医師と薬剤師が相互の専門性を最大限に発揮でき、患者に最適な医療を提供することができる。
・医師は、医療機関における医薬品の在庫数にとらわれない最善の処方が可能となる。
・病院薬剤師は、病棟業務に専念できる。
・薬局薬剤師が薬歴管理をすることにより、薬剤の重複投与や相互作用の未然防止が可能となる。
・薬局において、薬剤師による丁寧な服薬指導が可能となる。
・処方せん交付により、患者への情報公開ができ、アドヒアランスの向上につながる。
4 正しい
かかりつけ薬局とは、複数の医療機関で交付された同一患者の処方せんのすべてを1ヶ所で調剤し、服用薬剤等の情報を一元管理する薬局のことである。患者が「かかりつけ薬局」を利用することで、薬剤管理による重複投与、相互作用の有無の確認などができ、薬物療法に有効性・安全性が向上する。
5 誤っている
退院後に在宅治療を行う患者や外来患者に対して継続的に薬学的管理を行うには、病院薬剤師と薬局薬剤師の連携のもと、薬物治療に必要な具体的な患者情報を共有する「薬薬連携」が必要である。
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