薬剤師国家試験 平成26年度 第99回 - 一般 実践問題 - 問 324,325
病院における医療チームには、診療科ごとのチームのほかに、栄養サポートチーム、感染制御チーム、褥瘡対策チームなどの活動範囲が複数の診療科にわたる機能別のチームがある。
問324(実務)
チーム医療における薬剤師の行為に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
1 感染制御チームの一員として、医療スタッフに対し、抗菌薬の適正使用について教育を行った。
2 褥瘡対策チームの一員として、外用薬の選択及び塗布方法について患者に説明した。
3 栄養サポートチームにおいて、経口による栄養摂取が可能な患者に高エネルギー投与が必要と考え、TPN(Total Parenteral Nutrition)を提案した。
4 がん化学療法チームにおいて、イリノテカンによる遅延性下痢が発現した患者に対し、半夏瀉心湯の使用を提案した。
5 緩和医療チームにおいて、がん性疼痛を訴えた患者に対し、モルヒネが投与開始となったので、予防的な緩下剤の使用を提案した。
問325(法規・制度・倫理)
医療チームに関する説明について、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 チームの治療方針は、チームの構成員が個別に設定した目標に基づいて決定する。
2 プライバシー保護の観点から、職能として知り得た患者情報は、できるだけ共有しない。
3 薬剤が投与されていない患者についても、薬剤師がチームに関わる意義がある。
4 病院の診療科が少ない場合には、機能別の医療チームを構成する必要性が低い。
5 チームの構成員に、患者や家族を含めることも必要である。
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問324 解答 3
1 正しい
感染制御チームの一員として薬剤師は、医療スタッフに対して、抗菌薬の適正な使用方法を教育、院内における抗菌薬の使用状況のチェック、抗菌薬の選択や投与量の提案を行う。
2 正しい
褥瘡対策チームの一員として薬剤師は、褥瘡の状態に応じた外用薬の選択、患者及び医療スタッフに対して、褥瘡治療薬の使用方法の説明、褥瘡内の薬剤が効果的に作用するための適正な局所環境作りを行う。
3 誤っている
栄養サポートチームの一員として薬剤師は、患者の状況に応じた栄養療法の支援を行う。経口による栄養摂取が可能な患者に対しては、経口栄養法が望ましい。よって、経口投与が可能な患者に対しては、中心静脈栄養法(TPN)を行う必要はない。
4 正しい
がん化学療法チームの一員として薬剤師は、がん化学療法における副作用症状(嘔吐、好中球減少症、血管炎、口内炎など)をモニターし、副作用改善のための支持療法の適切な処置を考案する。よって、がん化学療法チームの薬剤師が、イリノテカンによる遅延性下痢が発現した患者に対し、半夏瀉心湯の使用を提案することは適切な行為であるといえる。
5 正しい
緩和ケアチームの一員として薬剤師は、急に強い痛みが生じた患者に対する臨時追加投与(レスキュードーズ)、副作用などにより疼痛コントロールがうまくいかなくなった場合の他のオピオイド鎮痛剤への変更(オピオイドローテーション)、便秘などの副作用を軽減するための処方を提案する。よって、緩和ケアチームの薬剤師が、がん性疼痛を訴えた患者に対し、モルヒネが投与開始となったので、予防的な緩下剤の使用を提案することは適切な行為であるといえる。
問325 解答 3、5
1 誤
チームの治療方針は、チームの構成員が個別に設定した目標に基づいて決定するのではなく、患者やその家族を含めたチームが一体となり、十分に話し合い決定するものである。
2 誤
医療チーム内のスタッフ間で患者情報をできるだけ共有し、患者の状況に的確に対応した医療を提供すべきである。
3 正
薬剤が投与されていない患者についても、今後の病状の変化により薬剤療法を行う可能性があるため、薬剤師がチームに関わる意義がある。
4 誤
医療チームは、多種多様な医療スタッフが高い専門性を発揮することにより、患者中心の医療を提供するものであり、診療科の多少に関わらず、医療チームを構成することが求められる。
5 正
解説1参照
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