薬剤師国家試験 令和03年度 第106回 - 一般 理論問題 - 問 91
日本薬局方において、1 mol/L水酸化ナトリウム液の調製及び標定は以下のように規定されている。この調製及び標定に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
調製 水酸化ナトリウム42 gを水950 mLに溶かし、これに新たに製した水酸化バリウム八水和物飽和溶液を①沈殿がもはや生じなくなるまで滴加し、液をよく混ぜて密栓し、24時間放置した後、上澄液を傾斜するか、又はガラスろ過器(G3又はG4)を用いてろ過し、次の標定を行う。
標定 ア (標準試薬)をデシケーター(減圧、シリカゲル)で約48時間乾燥し、その約1.5 gを イ に量り、新たに煮沸して冷却した水25 mLに溶かし、②調製した水酸化ナトリウム液で滴定し、ファクターを計算する(指示薬法:ブロモチモールブルー試液2滴、又は電位差滴定法)。ただし、指示薬法の滴定の終点は緑色を呈するときとする。
1 下線部①で生じる沈殿は、硫酸バリウムである。
2 ア に入るのは、「アミド硫酸」である。
3 イ に入るのは、「正確」である。
4 波下線部②の操作にはメスピペットが用いられる。
5 通例、ファクターが0.970〜1.030の範囲にあるように調製する。
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解答 2、5
1 誤
下線部①で生じる沈殿は、炭酸バリウムである。水酸化ナトリウムは吸湿性が高く空気中の二酸化炭素を吸収することで、一部炭酸ナトリウムに変換される。そのため、標定時は水酸化バリウムを加えて炭酸ナトリウムを元の水酸化ナトリウムに戻す必要がある。本反応では炭酸バリウムの沈殿が生じるため、沈殿が生じなくなったところを滴定終点とする。
NaCO3+Ba(OH)2→2NaOH+BaCO3(沈殿)
2 正
ア に入るのは、「アミド硫酸」である。アミド硫酸は、日本薬局方において1 mol/L水酸化ナトリウムの標定に用いられる標準試薬である。
3 誤
イ に入るのは、「精密」である。なお、日本薬局方における操作において質量を「精密に量る」とは、化学はかりを用い、0.1 mgまで読みとるか、セミミクロ化学はかりを用い、0.01 mgまで読みとるか又はミクロ化学はかりを用い、0.001 mgまで読みとることを意味する。
4 誤
下線部②の滴定操作にはビュレットが用いられる。ビュレットは、試料溶液を少量ずつ滴下する際に用いる器具であり、滴下した量を精密にはかることができる。なお、メスピペットは一定量の試料溶液を量り取って別容器に移す際に用いられる。
5 正
ファクター(f )とは、日本薬局方において、調製した容量分析用標準液の濃度と規定の容量分析用標準液の濃度とのずれの度合いを表す数値である。日本薬局方では通例、ファクターが0.970〜1.030の範囲になるように規定されている。
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