薬剤師国家試験 令和05年度 第108回 - 一般 実践問題 - 問 206,207
70歳男性。1ヶ月前より両手の関節の痛みと腫れが出現し、家族とともに病院の整形外科を受診し、医師より精密検査のための入院を勧められた。検査の結果、軽度の関節リウマチとの診断を受けた。メトトレキサートによる治療を開始したが、肝機能障害が出現し、以下の処方へ変更となった。
2週間後、薬剤師が服薬指導で患者の病室を訪問したところ、「食事が美味しくない、味があまりしない。」との訴えがあり、食事の摂取量も減少していることが分かった。薬剤師はブシラミン錠による薬剤性味覚異常の可能性を考え、医師へ血清亜鉛濃度の測定を依頼した。
臨床検査値:血清亜鉛 65 µg/dL(基準値:80〜130 µg/dL)
医師は臨床検査値の結果を踏まえ、以下の処方を追加した。
問206(実務)
今後の薬剤師の対応として適切でないのはどれか。1つ選べ。
1 味覚異常の原因薬剤と考えられるブシラミン錠の継続の可否について医師に確認する。
2 味覚障害には口内炎や口腔内乾燥を伴うこともあるため、これらの症状について患者に確認する。
3 亜鉛濃度が過剰にならないように、定期的な血清亜鉛濃度の測定を医師に依頼する。
4 患者に対して、処方2に加えて亜鉛サプリメントを摂取する場合には、医師あるいは薬剤師に相談するように指導する。
5 亜鉛の補充により銅の吸収が増強され銅過剰症を起こすおそれがあると医師に情報提供を行う。
問207(物理・化学・生物)
この患者の味覚異常に最も関連するブシラミンの性質はどれか。1つ選べ。
1 酸化剤として働く。
2 水に溶けにくい。
3 弱酸性を示す。
4 キレート作用をもつ。
5 分子内ジスルフィド結合を形成する。
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