薬剤師国家試験 平成26年度 第99回 - 一般 理論問題 - 問 182
66歳男性。労作性狭心症のため2週間前にカテーテル治療(Percutaneous coronary intervention, PCI)を受けステントを挿入された。その後退院し、外来受診となった。
現在の処方薬
本日の検査結果
LDL−コレステロール122 mg/dL、HDL−コレステロール53 mg/dL、トリグリセリド110 mg/dL、空腹時血糖90 mg/dL、HbA1c(JDS)値5.6%、HbA1c(NGSP)値6.0%。
本症例に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 脂質検査はすべて正常であり、アトルバスタチンカルシウム水和物の投与を中止する。
2 血糖はコントロール不良なので、経口糖尿病用薬の追加が必要である。
3 クロピドグレル硫酸塩の血小板凝集抑制作用は、CYP2C19遺伝子多型により変動する。
4 アスピリンによる消化性潰瘍の副作用に注意が必要である。
5 抗血小板薬の併用の必要はない。
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解答 3、4
1 誤
本患者の脂質検査はすべて正常である。(①LDL−コレステロール 140 mg/dL以上、②HDL−コレステロール 40 mg/dL以下、③トリグリセリド 150 mg/dL以上、①〜③のいずれかを確認した場合、脂質異常症である。)ただ、本患者のように労作性狭心症のためステントを挿入された患者では、LDL−コレステロールを100 mg/dL未満に抑える必要がある。本患者のLDL−コレステロール値122 mg/dLは目標値より高いため、アトルバスタチンカルシウム水和物の投与は継続することが望ましい。
2 誤
空腹時血糖126 mg/dL未満、HbA1c(JDS)値6.1%未満、HbA1c(NGSP)値6.5%未満であれば、血糖コントロールは良好であるとされる。本患者の検査値はいずれも前述範囲内に収まっているため、血糖コントロールは良好であり、経口糖尿病用薬の追加は必要ない。
3 正
クロピドグレル硫酸塩は主にCYP2C19によって代謝を受けるため、CYP2C19遺伝子多型により血小板凝集抑制作用が変動する。
4 正
アスピリンは、シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害により作用を示す血小板凝集抑制薬である。これによりプロスタグランジン(PG)産生を抑制するため、副作用として、胃酸分泌増加や胃粘膜産生低下等による消化性潰瘍が報告されており、注意が必要である。
5 誤
冠動脈へのステント留置処置後は、血管内皮細胞に異常が生じやすく、血栓が形成されやすい状態になる。よって施術後少なくとも3ヶ月間は、血栓症のリスク軽減を目的にアスピリンとクロピドグレルやシロスタゾール等を併用する必要がある。
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