薬剤師国家試験 平成26年度 第99回 - 一般 理論問題 - 問 98
電気泳動法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 イオン性物質の移動速度は電場の強さに比例する。
2 SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動では、タンパク質は陽極から陰極に向かって泳動される。
3 SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動では、ゲルの濃度が高いほど、タンパク質の移動度が大きくなる。
4 等電点電気泳動では、電極間にpH勾配を形成させてタンパク質の分離を行う。
5 アガロースゲル電気泳動でDNAを分離するには、試料に臭化エチジウムを加える必要がある。
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解答 1、4
1 正
イオン性物質の移動速度は、電場の強さ、電圧、イオン性物質の電荷に比例し、電極間の距離、溶媒の粘度、イオン性物質の半径に反比例する。
2 誤
SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動では、ポリアクリルアミドゲルを用いて、分子量の違いにより、試料を分離する方法である。本法は主にタンパク質の分離に用いられる。
本法により、タンパク質を分離する場合、還元剤により、タンパク質の立体構造を破壊し、そこに陰イオン性界面活性剤を加えることで、タンパク質を一様に負に帯電させる(これをSDS処理という)。SDS処理を行うとタンパク質は負に帯電するため、タンパク質は陰極から陽極に向かって泳動される。
3 誤
電気泳動に用いられるゲルは、網目構造をしており、一般に、濃度が高くなると網目が細かくなる。そのため、ゲルの濃度が高いほど、タンパク質の移動度は小さくなる。
4 正
等電点電気泳動法は、酸や塩基を添加することにより、電極間にpH勾配を形成させ、等電点の異なる物質を分離する方法である。試料は、自身の等電点に等しいpH領域で見かけ上電荷が0になり、移動しなくなるため、互いに分離される。この方法は、タンパク質、ペプチド、低分子の両性イオンなどの分離に用いられる。
5 誤
アガロースゲル電気泳動は、ゲルの分子ふるい効果により試料を分子量の違いにより分離する方法で、主にDNAの分離に利用される。本法によりDNAの分離は、分子ふるい効果を利用したものであり、臭化エチジウムを加えなくても行うことができる。なお、臭化エチジウムは、DNAを染色する際に用いられる試薬である。
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