薬剤師国家試験 令和04年度 第107回 - 一般 実践問題 - 問 324,325
63歳女性。10年ほど前から股関節の痛みを感じ、整形外科を受診し変形性股関節症と診断された。処方1の薬剤の服用で様子を見ていたが、症状が悪化し、杖なしでは歩けなくなったため、医師から人工股関節置換術を勧められ入院して手術を受けることになった。患者が入院する病院はDiagnosis Procedure Combination(DPC)制度対象病院で、手術後から処方2の薬剤を服用予定である。
問324(実務)
この患者への処方2に関する服薬指導として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1 手術後に傷口の血の流れをよくして治りを早くする薬です。
2 この薬は人工股関節置換術後に起こる合併症の予防のために使用します。
3 手術後病室に戻ったらすぐに服用を始めてもらいます。
4 この薬の服用中はグレープフルーツジュースを服用しないでください。
5 あざができたり、歯ぐきから出血したら、すぐに教えてください。
問325(法規・制度・倫理)
服薬指導の際に、患者から入院費用について質問を受けた。手術を受ける病院での公的医療保険制度での医療費の支払いに関する説明として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 手術前に患者が希望すれば、医療費の支払いを全額出来高払いに変更出来る。
2 人工股関節置換術の入院基本料は医療費の包括払いのため入院日数の上限が決まっている。
3 入院中に服用する処方1と処方2の薬剤費は医療費の包括払いに含まれている。
4 退院後のリハビリテーション料は医療費の包括払いに含まれている。
5 個室への入院を希望する場合は差額ベッド代が必要になる。
- REC講師による詳細解説! 解説を表示
-
問324 解答 2、5
人工股関節置換術の合併症として、静脈血栓塞栓症、脱臼などがある。処方2のエドキサバントシル酸塩水和物は、活性化血液凝固因子第Ⅹ因子(第Ⅹa因子)を選択的に阻害するため、人工股関節置換術の合併症(静脈血栓塞栓症)の発症を抑制する目的で処方され、初回投与は、手術後12時間を経過し、手術創部からの出血がないことを確認してから行う。また、本剤の副作用として、出血(歯肉出血、皮下出血等)があるため、服薬指導の際、確認を行うことが必要である。なお、本剤はグレープフルーツジュースとの相互作用は報告されていない。
問325 解答 3、5
DPC(Diagnosis Procedure Combination)制度とは、急性期入院医療を対象とする診断群分類に基づく1日当たりの包括払い制度のことである。
DPC制度に基づいた診療報酬の請求は、1日あたりの定額の点数からなる包括評価部分と従来通りの出来高評価部分を組み合わせて計算する。
なお、DPC制度では、通常、包括評価部分の「DPCごとの1日当たりの包括点数」は在院日数に応じて3段階で減っていくように設定されているが、これは一定の期間までしか設定されておらず、これを超えた場合には超えた日数分の入院料を出来高払方式で算定する。
1 誤
DPC制度の対象となる疾患の場合、患者が希望しても医療費の支払いを全額出来高払いに変更することは出来ない。
2 誤
人工股関節置換術の入院基本料は包括払いであるため、入院日数により点数が異なり、入院日数が一定期間を超えた場合は出来高払いとなるが、入院日数に上限は設けられていない。
3 正
原則、入院基本料、検査、画像診断、投薬等の費用は、DPC制度の包括評価部分に含まれる。
4 誤
DPC制度は、急性期入院医療を対象とするため、退院後のリハビリテーション料などの外来の医療に要した費用や在宅医療に要した費用などは、出来高払いとなる。
5 正
個室への入院を希望する場合は、DPC制度の包括対象外となり、差額ベッド代が必要になる。
- この過去問解説ページの評価をお願いします!
-
評価を投稿